MAZDA CX-60|クロスオーバー SUV|マツダ
試乗してまいりました、最初に見た印象「思ったよりデカくない」、サイズとしてはトヨタ・ハリアーの現行型と大体同じ。実物は恰好良いんだけどなんで写真だと間延びするんだろう。あとタイヤがほんとうデカいね、冬タイヤが高そう。ハリアーと同じサイズかと思ったらちょっと幅広であった。
グレードは以前聞いた話だとXD AWD Exclusive Modeって話だったけど、実際にはXD-HYBRID Exclusive Modernだった、つまり48Vマイルドハイブリッド6気筒3.3Lディーゼルターボの白革内装。どうせならPremium Modern(例の特殊な白織内装)かPremium Sports(タン革内装)のが良かった。内装ビニールがついたまんまだけど気にせず、これ早めに取った方がいいと思うけどセンターコンソールは汚れるだろうから難しい。白内装は室内が明るくて個人的にはかなり好み。
メーカーオプションは付いてない模様、このグレードのメーカーオプションはカメラでドラポジを合わせてくれる機能とサンルーフだけで他は全部付いてる。サンルーフも試してみたかったのだけども。
乗り込んでポジションを合わせてみる、マツダ系は慣れてるのでサクサクと合う。ステアリングのチルト・テレスコピックが電動なのは微調整が出来て良い。パワーシートもそうだけど、電動化するとmm単位の微調整が出来るのが最大のメリット。メーターがフル液晶で格好いい、ナビモニタがバカデカい。座った時のセンター位置を見るのを忘れてたけど多分きっちり合ってたと思う。CX-5はズレてるんだよね、MAZDA車でセンターが文句なしに合うの第7世代以降よ。
流石に幅が広いだけあって車内はCX-5よか幅広に感じる、具体的には右ドアと助手席の人までの距離が全然違う。これでも「車内が狭い」「後席狭い」って文句言う人は一杯居るんでしょうけど、別のクルマにすればよろしいのでは。
エレクトロシフトと呼ばれるMX-30と似た形状のシフトを動かして発進。流石に幅が広いので(CX-5比で+50mm)ちょっと緊張。思ったよりずっとスムースにクラッチがエンゲージされて静かに走り出す、もうちょっと重く感じるかと思ったが全然軽い。んで道路に出て、ってハンドル重たいなコレ! ハンドルグリップがかなり太いのも影響してそうな。
ゆっくり走って小道から大きい道路に出る。見た目に反して小回りは効く、大きい道に出たのでちょいと制限速度内で踏む。…これ速いわ、CX-5の2.2Lディーゼルターボの「低速トルクだけは凄い」エンジンとは全然違う、上まで綺麗に伸びる。あと音が凄くいい、4気筒ディーゼルは掃除機みたいな「ガゴー」みたいな音だけどコレはちゃんと「フォーン」と官能的な音がする。人工的な音かもしれないけども。
車体がいい意味で重たい、重くて重心が低くて乗り味が恐ろしくどっしりしてる。ただし乗り心地はそこまで良くない、低速域でそこそこ揺れる。50km/hも出せば個人的には許容範囲なんだけど、人によってはやっぱり揺れるって思うかも知れない。MAZDA3みたいな「車体は揺れるけど頭はあんまし揺れない」系のアレ。
HIDの情報量は少ないというか普通に走ってる分にはCX-5と変わらない。ただ表示領域はすごくデカくなった、従来比3倍だっけ? フォントになんか違和感があるけど慣れるんだろうか。ずっと「なんでレーンキープしないんだろう?」って思ってたけど、なんか設定が必要らしい。そういう機能を試したくて試乗してる訳でもないので今回はスルーで。
途中でレーンチェンジ、呆れるほど車体の動きがソリッド。FFみたいにフロントから曲がって(ねじれて)いくのではなくてロールして車体の前後スリップアングルが付いたら斜めに射出されるイメージ。信号からの左折・右折でアクセルを踏んでいってもトルクステアは一切無くリアのスリップアングルだけが変わる。やっぱりFRである、すごく気持ちいい。
途中でちょっと道を間違って紆余曲折あったけど脇道でちょっとしたコーナーを曲がったり追い越し加速をしたり。クルマの動きがFRベースならはでの気持ちよさ、何をやっても安心感があるし、何より音がすごくいい。ついつい回してしまう。スポーツモードにして踏み込んでみたらコレがまあ気持ちのいい加速でビックリする。CX-5よか全然速い。これでCX-5よか燃費が良いとかチートでは。
ブレーキは全然普通に使える、ただ信号で停止する際に踏力を抜いていくとペダルからガガガガ、とごくわずかに振動が来るのが分かる。これ回生ブレーキかな。MX-30 EVだとスタッドレスタイヤが合っていなかったのかめっちゃ気になって、あれに比べたら全然気にはならないけども。
ミッションは新設計の8速トルコンレスAT、トルコンレスという事で実質ロボMTみたいなもんだろうか。でも全然不満は無かった、シフト時のショックが一切無いとは言わんけど全然許容範囲、むしろCX-5のトルコン6速ATの「ズルズル…ガツン!」ってトルコンが滑って繋がる事があるATよりずっとマシ。
ぐるっと回って試乗おしまい。やっぱり低速域での取り回しはちょっとハンドルが重く感じる。緊張はしたけど全然乗りづらくは無かった。
試乗を終えて、自分のCX-5に乗り換えたら凄く軽く感じてビックリする。軽いけど同時にふわっふわ、全体的にルーズで鈍い。それがダメじゃなくて、むしろCX-5というクルマのキャラクターがこれだと思う。ダラダラ乗ってても、ある程度ガチで乗ってても許容される範囲がデカいというか。
CX-60はこれに比べたらむちゃくちゃ重厚で、重厚過ぎて人によっては拒否反応すら出そう。CX-5がカッターナイフだとして、高いけど良いカッターナイフが出たというので見に行ったらがっしりとしたアーミーナイフが出てきたみたいな? あるいは日本刀? とかく内装の凄さが言われてるけど、走りも全然負けてない。
気になるのはハンドルが普通に重たい。これ「きちんと正しい位置に座って両手できちんと回せば重たくない」とは言えるんだけど、そこまで運転に対して真摯であるべきなのか、という気もしてくる。むろん「バックレストを倒して椅子に斜め座りする輩」とかは論外なのだけども。なんというか「正しく運転しろ」って強制されてる感はある。そういうのが嫌いな人は向いてない。
あと乗り心地、特に低速域の揺れがもうちょいマシにならんかなあという感じ。たぶん年改で変わると思う。乗り心地でさんざん言われてたMAZDA3、今出ている型はめっちゃ乗り心地良くなってるからね、荒れた路面だとうちのCX-5より良いくらいだし。
しかし「CX-5で不満に思ってる部分」がほぼ全て解消されてたのはデカい。具体的には「ドラポジ」「シート」「エンジン」「ミッション」辺り、あとCX-5で特に気になってる「荒れた路面を走ると車体後部が8の字に揺さぶられる」って辺りが改善されてるのかは流石に分からず、ディーラーの近くにそんな路面があればチェックできるんだけども。
じゃあ買い換えるのか? って言われたら単純にお高いですねん。あとデカい、運転しててそこまで幅が広がった印象はないんだけど、多分駐車しようとすると「幅デカい!」ってなると思う。
見積もりを取ってみたらXD L Packageだと今のローン月額と思ったより差が無くてちょっと考えるけどねえ。流石にそれより上のグレードはお高いです。個人的には2.5L4気筒エンジンモデルの25Sが凄く気になる、MAZDA3の15S大好きな人としては25Sが本命かも、試乗車が出たら乗る予定。