[ベクタースキャン]USB-DVG(Digital Vector Generator)起動!

去年の春先だったか、eBayでUSB-DVGなるものが出品されているのを見つける。ちょっと調べたら「USB接続してベクタースキャンモニタをドライブする機器」らしい、つまりはオレの持ってる「ZEKTOR ZVG(こちらはパラレル端子)」と同様の内容でUSB接続出来る代物。なにそれ欲しい。

色々調べたら、FaceBookで作者自ら頒布している模様。んでeBayに出てたのは2回目頒布のキャンセル分の販売だったっぽい。ちょうど3回目頒布の予約中だったのでFaceBookのアカウントを取ってコンタクト。昨年のうちに支払いも済ませたが、このご時世なんで遅れまくり。今週の月曜日にようやく到着。お値段は$350、これに国際送料が$20。

しかし届いたはいいがセットアップマニュアルが無い、基板にシルク印刷してあるドメインも失効しているっぽい。調べたら公式サイトはある模様。インストールガイドとかはあるけど正直全然情報が足りない気がする。何よりモニタ出力がD-SUB15ピン三段、つまりはVGAコネクタなんだけどピンアサインが載ってないやん。

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FaceBookで検索をかけたら「普通のアナログVGAと同じだよ、H/VがX/Y」って書いてあって納得。なるほどR/G/BそれぞれにRTNがあるのでそれがGNDだ、H/V-SYNCのGNDは共通だけども。線材が無いのでAWG20の線材と同時にD-SUB15ピンのターミナルコネクタも見つけたので発注。ターミナルコネクタはAliで売ってるような代物だった、まあ使えるだろ。

他にラズパイ4が必要。こちらは事前に用意済み。ラズパイ4+32GB以上のmicroSDHC+電源が最低条件。実際にはキーボードとモニタ、LANケーブルも必要。ラズパイ4はメモリ2GBモデルで行けるかは不明、まあ4GB以上買っとけ。4B 8GBモデルを買ったけど問題は無い模様。

そして配線。モニタ側はお決まりのMolex MLXコネクタなので手持ちのコンタクトピンを圧着してコネクタに刺す。反対側はターミナルコネクタに配線。ピン抜きも持っているので配線をミスっても気軽に変更可能、はんだ付けするだけが脳ではない。USB-DVG側でR/G/B/X/YのGNDは全部共通なのをテスターで確認したので線も一本でいいやろ、ひとまずハーネスを配線完了。

公式サイトのGoogleDriveからラズパイ用のOSイメージをダウンロードして、PCからRaspberry Pi ImagerでmicroSDHCに書き出し。これお手軽で良いけど、後々の事を考えると結構頭が痛い。OSのセットアップ方法もどこかに載せて欲しいんだが。

ラズパイとUSB-DVGは付属してきた短いUSB-A・microBケーブルで接続する、これはUSB-DVGへの電源供給も兼ねてる。後で調べたけどUSB-DVGそのものは高速USBシリアル機器としてラズパイ側から制御するだけなのね(おそらく通信速度はRS-232Cの115200bpsを軽く超える)、多分長いとかヘボいケーブルだとダメなんだろう、だから付属ケーブルを使えと。

ラズパイの電源を繋いで、さらに制御用のキーボードとマウス(今回はLogicool Unifyingレシーバを使用)、電源とモニタケーブルを接続。ベクタースキャンモニタはちょっと怖いので手持ちの「VectorVGA」を使用する。ATARI仕様カラーベクタースキャンモニタと同じインタフェースでアナログSVGAに変換してくれるレアアイテムである。おお映った、青がドリフト気味だが問題無さそう。USB-DVG側の基板についてる二個のVRがなんだかサッパリ説明が無いんだが、これX/Yのサイズですね。リニアリティとかはソフトウェアで設定可能。

USB-DVG自体は単なるUSBシリアルで受け取るだけの機器かと思ったらインテリジェントデバイスで、モニタ設定メニューとかはこれ単体で動いてしまうのね、なので基板上に操作用のタクトスイッチが付いてると。んでUSBシリアルで接続するとクライアントデバイスとしてふるまう。

問題はなさそうなので手持ちのAmplifone’19モニタに接続。おお映った。これはUSB-DVG単体の起動画面。

そしてラズパイに接続するとAdvenceMAMEの起動画面、そこからラズパイに接続されたキーボードを操作するとゲーム選択画面が出てくる。これはZEKTOR ZVGの頃にあった奴と同じ、ただ一回ソースを紛失したので(一時期ソースはZEKTORサイトからDL出来たと思うんだけど)一回作り直したとか言ってた記憶。

にしても青が強い。描画されてない所でも出ちゃう&終点の輝度が強くてモニタが焼けるんじゃないかとヒヤヒヤする。モニタ設定を弄っても調整できず、モニタ基板側で調整する必要があるんだなコレ。めんどくさいので今回はそこまで動かさず。

MAMEはZEKTOR ZVGの頃からバージョンが上がってて、当時は動かなかったこんなゲームも一応動くのです、すげえ、コレがベクタースキャンモニタで動くのを見られるとは思わんかった。モニタが焼けそうなんでまともに遊べないけど。

後で気づいたけど、USB-DVG単体のモニタ調整メニューからクレジットを出して、そこからある操作でイースターエッグの「パックマン」が起動する。ベクターをほぼラスター描画してるだけで特に嬉しくはない、USB-DVGの基板側タクトスイッチで操作しないとならないので厳しい。

とりあえず本日はここまで。とにかくモニタの焼き付きが怖い、あとでFaceBookの過去ログ漁って、モニタ基板の調整。とこkまで書いて気付いたがハーネスの途中、R/G/BにそれぞれVRを仕組んだ方がいいかも。最悪Bだけでもいいけど。モニタ基板側で設定しても通常のゲーム基板と整合が取れなかったら繋ぎ変えるたびにモニタ基板側を設定する羽目になる、さすがにそれはめんどくさい。

多分日本で初めてUSB-DVGを動かしたと思うので(買った人は別に居る)もうちょっと満足しちゃった感はある。これでZEKTOR ZVGはPCごと捨てられるかなあ。まだ動くか知らんけども。

ここまで結構疲れた。午前中に久々にカラーベクタースキャンモニタ(Amplifone’19)に火入れするのも結構緊張して疲れた。Major Havoc筐体(こちらのモニタはWG6100)も久々に火入れしたけど元気に動いております。

にしても届く直前までUSB-DVGについては調べなかったけど、改めて調べ始めたら想像以上にクローズドな状態でちょっと面食らった。なにかソフトを書こうと思ってたけど出来るんかな。別の人がオープンソースで同じようなハード&ソフトを作ってるのだけど理由が分かったかも。クローズドにする意味は正直分からん、儲けられるほど高価でもないし、数も出ないし。

[光速船/Vectrex]PiTrex 導入編

Vectrexでいま一番熱い周辺機器は「PiTrex」だろう。Vectrexはカートリッジスロットに全部出てるのでCPUの乗っ取りが可能(カセットビジョンみたいだ)、そこでRaspberry Pi ZeroをCPU代わりにするという代物である。安価なのがポイント。

PiTrex Wiki Index

先日購入したDCコネクタ付きが無事オーストラリアから届いた(DCコネクタはVectrexを使わない開発時の電源供給用)。のでRaspberry Pi Zero WH(「W」は「Wireless」、「H」は「pinHeader」)と32GBのmicroSDカードも別途購入。

Raspberry Pi Zero WHと32GBのmicroSDカードも届いたのでサクッとセッティング。やり方はこれだけ、このお手軽さがまた実に素晴らしい。Raspberry Pi Zeroのセッティングすら不要なのはすごい。

  • microSDカードをFAT32でフォーマットする、OSによっては要ソフト、32GBなら大抵購入時の時点でFAT32でフォーマット済みっぽい
  • 配布ファイルをダウンロードして解凍して、指定されたフォルダの中身をmicroSDカードにコピー
  • Raspberry Pi Zero WHにmicroSDカードを刺す
  • PiTrexにRaspberry Pi Zero WHのピンヘッダを刺す
  • PiTrexの「Raspberry Pi Zeroを刺した側」を上にしてVectrexに刺してVectrexの電源を入れる

そして出てきた映像がまた凄い。うちのVectrexで「Bad Apple!」が動いて感動する。この手のデバイスではVectrex32ってのがあって(持ってる)、そっちは刺せば起動はするけどソフトの転送とかはUSBシリアル経由で結構ハードル高かったので。開発する気がないならRaspberry Pi Zeroは安い無印にピンヘッダを自分で半田付けしても良さそう。

色々デモを見た感じ、Vectrexってモニタの描画速度は結構速くてCPU速度の方がネックだったのか、という感想。Raspberry Pi Zero上で本体より高速に動くVectrexエミュレータを動かすのは中々倒錯感があってよろしい。でもPCMサウンドプレイヤーに「これそのまま入れて配布しちゃダメだろ!」って奴がある辺りは海外って感じがする。

青いオーバーレイを被せて白黒の線画を見たらカラーブレイキング現象が出る(白線に青や赤の境界線が見える)のにはちょっとビックリした。当たり前な気がするんだが全然想定してなかった。

これ弄ってたらキリがない(PiTrexのソフト自体もどんどん進化してる)ので、仕事がひと段落したら開発環境周りを弄る予定。ひと段落っていつ? 最低あと一か月くらいですかね。「ベクタースキャンでなんでもいいから自分の作ったものを動かす」のはずっと夢だったので、ええ。

[光速船/Vectrex]37周年ネタ

結局今年もまたネタを仕込めなかった。いや正直腰痛でそれどころでは無かったんですが、なんかやろうとは思ってたんですよ。

Twitterを見たら光速船で「Bad Apple!」を再生しているお方が。「Bad Apple!」再生ネタは随分前にも紹介してて、その時は外部CPUを使ってた。でも今回はそれと遜色ない動きなのに刺したカートリッジだけで動いている、なんだろう?

と思ったらどうやらコレっぽいです。新型マルチカートなんだけどSTM32が載ってて実質Vectrex32も包括してるみたいな。このマルチカートにはVectrexネイティブなゲームと、STM32で動くソフトの両方が入れられるわけね。んで「Bad Apple!」は後者と。

GitHub – technobly/VEXTREME: VEXTREME – Vectrex Multicart

開発環境はDockerで提供されてて、正直Vectrex32のBASICで書くよりはまだ敷居が低そうな気がする。欲しいけど、STM32向けコードを書いてもやっぱり動かせる人が相当限られるよねえ。ううむ。

というネタを持ちまして37周年記念で。

[Vectrex/光速船」小型プロトタイプ発見!

以前から存在だけは噂されていた小型プロトタイプ機が見つかったそうで。フィリップスのフラット管を使うやつじゃなくて、単に現状の部品を再構成して小型化しただけっぽい。

[モニタと本体が合体した最初期のゲーム機「光速船」に幻の小型プロトタイプが実在した! 米ビデオゲーム博物館に収蔵される](http://news.denfaminicogamer.jp/news/181130e)

まあこんな製品が出ても、肝心のソフトがアレでは正直売れなかっただろうな、という気分もあるんだけども。カラーVectrexと合わせて当時のメーカーの迷走っぷりがよく分かる製品である。

ちなカラーVectrexの記事はこちら。

[Vectrex, Finally In Color | Hackaday](https://hackaday.com/2018/01/03/vectrex-finally-in-color/)

[Vectrex/光速船]Vector Patrol(Moon Patrol)

二年ほど前にベルギーの人が作った「VECTREXIANS」というVectrex用ギャラクシアンクローンを購入しまして、コレがまあ素晴らしい出来だったんですが。

[[Vectrex/光速船]VECTREXIANS | okaz::だめにっき](https://bonkura.takuranke.com/weblog/2016/03/07/vectrex%e5%85%89%e9%80%9f%e8%88%b9vectrexians.html)

その作者から「『Vector Patrol』が完成したから買わない?」とメールが。え、あれ完成したの? 買う買う! とPayPalで支払いを済ませて一週間ほどで届きました。すげえ速い。しかもポストに直接投函だし。

そんな訳でアイレムの名作「Moon Patrol」クローンこと「Vector Patrol」ですが、いやもう素晴らしすぎる出来で感動した。ほぼAC版の完全移植で、BGMやら演出とかはむしろAC版よりパワーアップしております。

ただちょっと上方向ショットの当たり判定が小さいので難易度高い気も、慣れかもしれんけども。そんな訳で頑張ってコンティニューしまくって一周したらちゃんとエンディングまで用意されておりました。このエンディングがまた凄い。

個人的にVectrexで動く移植ゲームとしては「Time Pilot」クローンこと「Vector Pilot」を超えたかも。とかく技術的に凄すぎ。

しかし久々に心震える移植でしたね。本当に。あと一年以上火を入れてなかった光速船、ちゃんと動いて良かった(汗)せっかくなのでSwitch版と並べて写真を撮ってみたり。

ちなみにオーバーレイが二枚あって微妙に色調が違うのだが、本当に微妙すぎてよく分からない(汗) 自機が赤い方が二枚目、すなわちチャンピオンコース用ってのはなんとなく分かるけども。あとこのパッケージ、立派なんだけどVectrexのオーバーレイが収納出来ない仕様なのはどうにかして(汗) 同人ソフトの汎用パッケージなんだろうなあ。

ちなみになんで和室で撮影してるかと言うと、作者にメールで送ったのに。光速船+畳のワザマエでベルギー人を懐柔するって作戦であります。まあ和室は客室って事で使ってないのもあるけど。

ちなみにソフト一本ごとにシリアルNoがついててゲーム内ROMにも焼かれてます。シリアルはNo.100後半とは書いておく。んで作者に「届いたよ!素晴らしい!」とか適当に書いたら一時間ほどで返事が来ました。早いなあ。

[ベクタースキャン]Ocelot Arcade System

いわば「オシロスコープをモニタに出来る最新のゲーム機」って事か。これ知らなかった。スターフォックスもどきが60fpsで滑らかに動いてるのはかなりのインパクト。

[Ocelot Arcade System \- Mathew Carr](http://www.mrdictionary.net/ocelot/)

逆に言えば、今どきであればこの程度のハードで十分動かせちゃうって事なのよね。DACが5chあればカラーベクターもいけるか。

しかし基板(ユニバーサル基板だよ)まで公開しておきながらdsPIC33のソースコードが公開されてないっぽいのが惜しい。公開する予定はあるのかしらん。

[ベクタースキャン]ZEKTOR ZVGについて色々と

最近「ZEKTOR ZVG」で外人さんから(英語で)質問が来て色々とやりとりをしていた。何故か描画速度が出ないので相談に乗って欲しいと。結局原因は良くわからなかったのだが。

こっちからは出来る限りの情報を提示した後に「古いPCで頑張って環境を整備してZVGを使うよりオリジナル基板のが楽、少なくとも壊れても修理するノウハウは蓄積されている」と書いたら、あちらからは「ゲーム基板は高額だし修理には高度なスキルが要求される、古いPCはタダ当然で転がってる、私はZVGを選ぶ」と言われてすれ違ってるなと。

「ZEKTOR ZVG」で使う古いPCって、パラレルポートが必須という条件もさることながら、実はDOS窓からパラレルポートを叩くと1アクセス毎にウェイトがかかるらしくてZVGをぶん回すだけの速度が出ないのでのでネイティブDOSか、あるいはWinが立ち上がる前にコマンドプロンプトモードで立ち上げる必要があるのです。

そんな訳で当然ドライバもDOS用が必須、そしてネイティブDOSドライバでちゃんと音を出すにはISAバスか、あるいはPCIバスにISAブリッジが存在してる事が前提条件なのです。インテルだとPentium4の頃のi8xxチップセットまで、AMDだとnForce世代でもうアウト。

そのくらいになるともうジャンクしか見つからないので数打って当るかどうかだと思う。手に入れたら電解コンデンサ総交換だろうし、世代的に面コンになってきてるので交換もめんどくさい。手持ちのSiS651マザーはコンデンサ交換済みの奴をヤフオクで購入してるし。

それでVectorMAMEを動かしてもやっぱり一部遅いとか音が違うとかあちこち不満が残るわけで、「ZEKTOR ZVG」にそこまで拘る理由はないかなあというのがオレの感想。動作環境はちゃんと残してるけど、もう年単位で起動もしてないのでちゃんと動くかどうか分からない。そのうち「ZEKTOR ZVG」経由でVectorVGAが映るかどうかテストしてみるか。

ATARI Major Havoc Machine(TEMPEST Conversion Ver.)

そろそろ書きます、先日自宅に搬入した「Major Havoc」筐体のネタ。

この筐体は「TEMPEST」筐体から改造されたモノです。この個体は1984年に十数台が日本に輸入(船舶コンテナ一個分?)されて、何故かロケ稼働せずに個人向けに販売されたうちの一台です。「TEMPEST」筐体からの改造キットはATARIが販売してたんですが、これらの筐体に関しては在庫分をATARI自らが改造して出荷したんじゃないのかな、と勝手に思ってます。

なので電源は100V/60Hz仕様で(50Hzでも動く)、コインシューターは100円仕様なのです。

この「十数台輸入されてロケ稼働しなかった筐体」に関してはオレも詳しくないし某氏が某所で書くかも、ということなので書かないでおきます。ただ昔2ちゃんの某板で、とある著名なハイスコアラーが「昔TEMPEST改造筐体を持ってたけど実家に置きっぱなしにしてたら捨てられた」って書いてた奴、アレがこの中の1台って事は書いておきます。その某氏経由に聞いたから間違いないw

購入したものとは別の1台は数年前「パックマン展」で上京した時に某氏のガレージで拝見してまして、その時に「xx万で買わない?」とか言われて相当悩みました、しかし設置場所が確保できずに結局スルー。その代わりに遊びまくって「Major Havoc面白え!」って目覚めるきっかけにもなりました。こっちの筐体の方がオリジナル筐体より先に触ってるんですね。オリジナル筐体なんてKinacoさん所有のしか見たことも触った事ないんです。アレがどれだけレアだと思って。

さて時は流れてついにマンションを買ってしまったワタクシ。一人で暮らすには無駄に広いので筐体の一台くらい置いても問題は無さそう。そんな事で悶々とはしてたんですが、ある日に突然所有者とのコンタクトが出来てしまいました。縁ってヤツです。

そんな事で某氏を間に立てて交渉。無事購入となりました。搬入に関してはその道のプロである某氏にちゃんと依頼して一通りのメンテナンスを実施。オマケに「札幌に別の筐体を引き取りに行くついでに持って行きます」という事で輸送費も随分お安くして頂きました。有り難い。

さて購入した筐体、これは前述の通りにロケ稼働は一切行っていません、さらに言うとワンオーナー所有でずっと屋内保存されたものです。ついでに言うとあんまし使って無かったっぽいです。なんという好コンディション。

久々に電源を入れたらモニタのヒューズが飛んだらしいですが、色々調べて問題ないのでヒューズを入替えたら普通に遊べたとの事。まあヒューズも経年劣化しますしね。

これを某氏のガレージに運び入れて一通りの整備・清掃を行ってもらいました。具体的には清掃、一通りの状態チェック、全ての電解コンデンサの交換(ReCap)、コンタクトピンの清掃、モニタ基板の電源改造(壊れやすいので代替品交換が定番になってる)などです。基本的に程度は「非常に良好」との事でした。ただし一部に難あり、これは後述します。

そしてスケジュールを合わせて11月中旬にようやく搬入です。もうちょい遅かったら雪が積もり始めるので割とギリギリでした。会社には「大型家具の搬入」という事で有休を取りました、嘘は言ってません。

某氏がクルマに筐体を乗せて到着したのが夕方、そこから自宅の部屋まで搬入。ちなみにうちのマンションはほぼ段差・階段が存在しないので搬入自体はまだ楽な方だったと思います。

ただそれを差っ引いても筐体のデカい事。いや正確に言ったら幅はそこまででもないんですが(セガのアストロとかブラストの方が幅広い)、奥行きが大きくてですね…。あと最初は「設置は裏蓋を壁に付けて、メンテナンス時は移動して裏蓋開けて」とか考えてましたが、想像以上の重さで無理と判断したので部屋の壁に横付けして前後をフリーアクセスにしました。場所は取りますがメンテは非常に楽ではあります。

そして電源投入。ここでモニタの程度が異様にいい事にビックリします。いやマジで新品みたいなんすよ。焼け皆無のフォーカスもバッチリです。素晴らしい。操作系も完璧。凄い。筐体の一部にスレ、塗装の剥がれがありますがココは仕方がないでしょう。

ただ多少問題がいくつか。まずは電源・レギュレータボードの一部電解コンデンサの代替品入手が間に合わなかった事。基板の音声不良(一部Chが鳴ってないみたいな音) モニタの左右端が歪んでる事です。

しかしここに基板は「元から筐体についてきた1枚」「某氏が持ち込んだ手持ちの1枚」「オレの手持ちの2枚(1枚は予備)」と、少なくとも動作確認済みのが4枚あります。凄いw

別の基板を筐体に入れてみると音はちゃんと鳴ります、って事は基板の音声不良はチップセレクタTTLかオペアンプと判断、部品があればすぐ治るでしょう。問題はモニタの左右端が歪む事。せっかくのキレイなモニタなのにコレがどうやっても治せない。

回路図とにらめっこして、おそらくは(改造内容に含まれてる)左右のクリッピングをしてるツェナーダイオードがヘタれてるんじゃね? という所で時間切れ、本日の搬入は終わりました。ここまで格安でやってもらったし、部品は後で送るというので後はオレが頑張る番です。

そんな訳でとりあえず設置が完了した状態がコレです。男前です。

12月中旬にようやく部品が到着。基板の音声側はあっさり治りました。しかしホムセンで1/4inchなソケットを買ってまで外したモニタ基板のクリッピング用ツェナーダイオードを交換してもモニタ左右端の歪が全く改善されません。ちょっと心が折れかけます。

やらなければ何事も進まないので背面ドアを開けてどうにかします。

そもそもATARIの古い筐体は「基板を真後ろから搬入」する上に、ベクタースキャン系だと画面の微調整を基板上でやる必要があります。正直一人だとかなり無理があります。色々考えてたら「VectorVGA」という、ATARIカラーベクタースキャンの出力をアナログSVGA D-SUB出力に変換するアダプタを持ってることを思い出しました。今悪戦苦闘してる「Quantum」の製作にも活躍してる奴です。

幸いアナログVGAケーブルの長さに余裕はあったので簡単につながりました。そしてVectorVGAで見てみると…こっちでも左右端が歪んでます。ってことはベクターモニタ側で歪んでる訳じゃないって事です。なんという。

色々と調べてみた所、画面調整用半固定抵抗の一個が壊れてることに気づきました。値が全然リニアに変わらないどころか指で基板をはじいても画面がおかしくなる始末。半固定抵抗も経年劣化に弱い製品です。そんな訳で半固定抵抗一式を通販で購入しました。

半固定抵抗が届いたらさっそく交換。そして調整してみたら…左右の歪が治る! という事でビンゴでありました。その後正しいモニタに繋ぎ直して、姿見を持ってきて鏡を見ながら気合でモニタの調整をしました。完璧です。

ついでにタッチアップ塗料で筐体のスレ、塗装ハゲも修復し、見た目も随分綺麗になりました。そんな訳で完成です。感動です…。

タッチアップしてもあんまし写真写りは変わらんのですけどね。

しばらくローラーコントローラで遊んでたので、未だにスピナーに慣れてません。どっちが良いかと言うと「どっちにも良いところと悪い所がある」というのが持論です。

ローラーコントローラは「直感的な操作が出来る」「左右の切り返しが早い」のが利点です、問題は「構造上回転抜けが発生するのでとっさの移動に弱い」辺りです。スピナーは「ローラーコントローラより精密な操作が出来る」のが利点で、問題は「左右の切り返しに物理的慣性が強くかかる」辺りです。要するに慣れ、です。

ここで筐体の詳細です。前述したとおりにTEMPEST筐体を改造したものです。なぜか改造キットにサイドアートだけは用意されてなかったので「TEMPEST」のまんまです、現在は有志が専用のサイドアートをデザインして販売してたりします。

筐体の改造内容は結構大掛かりで、まずモニタを縦マウントから横マウントに変更、背面にACファンを追加。コンパネ・マーキーのシールの貼り替え。モニタ基板の改造(安全策のため)など。

基板は2ndロットのシルク印刷が「MAJOR HAVOC」になってパターンが修正された奴。ちなみに純正筐体に入ってる1stロットはシルク印刷が「TOLIAN WEB(スタトレが元ネタ?)」という製作中コードで、ジャンパも結構な量が飛んでおります。壊れたら治すの相当大変そう。

さらにこの基板はオリジナルに比べて音源チップが「Quad Pokey(POKEYチップのコアを4つ40ピンDIPに内蔵、音源のみ使用)」から「Quad Pokey Eliminator(オリジナルのPOKEYチップを4個使ってQuad Pokey相当にする子亀基板)」になってます。多分コストの関係。ちなみに「Quad Pokey」は「STAR WARS Return of JEDI」及び「FIRE FOX」にも使ってます。

オリジナルの操作はローラーコントローラですが、こちらの筐体は「TEMPEST」のスピナーをそのまま使います。入力自体はただのDIR/CLK方式なので流用が効きますがカウンタ数が全然違います。なので2ndロットの基板からはカウンタ入力に使うカスタムTTL「LETA」のRESOLピンのプルアップ抵抗が増えてます。ここをプルアップすることで倍カウント対応になりスピナーでの操作が可能になります。

しかし入手した基板は何故かここのプルアップがされてませんでした。その結果スピナーで回す量が倍になりまともにプレイできない状態です。正直着陸シーンからしてかなり無理ゲーです、本当にこれで遊んでたんですかね?

筐体内部のワイヤーハーネスは「TEMPEST」筐体のままです。そのままでは「Major Havoc」筐体には接続できないので(ピン数も違う)、変換用の「Conversion Board」というのを介します。

オリジナルの「Major Havoc」筐体に搭載されたベクターモニタは「Amplifone’19」というモノで、「TEMPEST」筐体に搭載されている「WG6100」より高解像度・高速度・高輝度がウリです。ついでに「WG6100」はピンクッション歪みがあって、これをゲーム基板側で補正する必要がありますが、「Amplifone’19」からは不要になりました。

余談ですが「Amplifone’19」は製造過程の問題で非常に故障が多く、現存数が多くありません。元々「Amplifone’19」が入ってた筐体の多くが「WG6100」に換装されています、Kinacoさん所有の「Major Havoc」筐体もそうです。ちなみに「TEMPEST」筐体に「Amplifone’19」モニタは奥行きの問題で入りません。

しかし「Major Havoc」基板にはピンクッション歪みの補正回路がありません、なのでこの補正回路も「Conversion Board」に付いてます。あとローラーを点滅させるためのLIGHT信号は電球のためそのまま5Vがかかってるので、そのまま「TEMPEST」筐体のスタートボタンLEDに入れるとLEDが死にます、なのでそこの印加抵抗も付いてます。

で、今回死んでた半固定抵抗が「Conversion Board」についてた「X LIN」だったりします。なるほど。

さらに2ndロットの「Major Havoc」基板はクロックダウンがされています。クロックアップではありません。そのためゲームスピードが明らかに違います。ついでに言うと音楽の演奏テンポまで遅くなります。

オリジナルはメインクロック:12.09MHz、ベクター描画回路:10MHzですが、今回のはメインクロック:10MHz、ベクター描画回路:8MHzになっていました。調べる限りでは2ndロット基板のクロックは複数あるらしいです、がオリジナルより遅いのは間違いないです。

遅くした理由に関しては「モニタの描画速度がオリジナルより遅いから」という話でしたが、実際にオリジナルクロックにしてみても描画速度は全然問題なく、むしろオリジナルクロックじゃないと遅すぎて画面のチラツキが増えるという始末です。

このクロック問題に関しては「ゲーム難易度を落とすため」というのが某氏の見解です。個人的にもそう思います。それだけ難しいんですこのゲームは。

そんな訳でクロックもオリジナル準拠に戻してます。こっちのが絶対快適にプレイ出来ますって。

今後は筐体の改造を予定してます。うちのATARIベクタースキャン基板はMolexの中継コネクタを駆使してハーネスの入替えが簡単に出来るようになってるので、筐体のハーネスもそうする予定です。コントローラの問題はありますが、既存の5ボタンコンパネだったらコンパネの上にそのまま置いても問題ないのを確認してます。筐体で「GRAVITAR」が遊びたい!

さらにもうちょっと言うと、やっぱりコンパネ自体も改造したいです。「TEMPEST」筐体のコンパネはかなり凝った作りで同じものを作るのは極めて困難ですが(やった人は居る)。見栄えを気にせずに(ロケ稼働するわけでもないので隙間とかあっても問題なし)1枚板を貼り付ける程度なら割とどうにかなりそうで思案中です。

オリジナルのコンパネはちゃんと残す前提で、個人的にはやっぱりローラーコントローラにしたいのです。