S660の試乗が出来るのが札幌で一件しかないのだが、増えそうもないのでわざわざ遠いディーラーまで移動。到着した後はディーラーの人に挨拶してアンケートに記入する、後は待つだけ。
試乗車のS660が戻ってきたので見てみる。おぉ流石に小さくて低い。エンジンルームの中も見られたが、コレはむちゃくちゃ金かかってるクルマだぞ、200万でペイ出来るんかな。雨が振りそうなので屋根付きである。タイヤは標準タイヤすなわち夏タイヤ。というかこのサイズの冬タイヤはまだ市販されてない予感。標準装備のADVAN AD08のタイヤパターンに変な笑いが出る。
そんな事を考えてるうちにオレの試乗の順番が来たので乗り込んでみる。シート低いしサイドシル太くて乗り降りしづらい! いやそりゃそうか。入念にポジションを合わせるが割とすぐ合う。とにかく車内が狭いのでタイト感が半端ない。となりの営業マンが近いw 女性だったらなー。
びっくりする位に超ショートストローク(ゲーセンの筐体よか短い)のシフトを動かして軽いクラッチをミートするとあっさりと動く。さすがにビートほどクラッチミートはシビアではない模様。そして動かしてアクセルを踏んで…ブレーキを踏んで…ステアリングを回して。なんだこれなんだ…、むちゃくちゃ凄いぞ。感動すらしてきた。
見た時に予感はしてたけど、乗ってみて確信した。これはビートの後継車じゃあない。ビートはもっとゆるい乗り物だった。だから気軽だったし未だに現存数が多いのだと思う。しかしS660はガチだ、ガチのスポーツカーだ。NDロードスターと違うベクトルでスポーツカーを真面目にやってるのだコレは。
ボディサイズの小ささと室内の狭さ以外は運転してると軽自動車ということを完全に忘れる。操作感はダイレクト感も滑らかさもある、シフトを入れてクラッチをミートしてアクセルを踏むと即座に車体が反応する。エンジンは流石に軽っぽいけど、ビートよかずっと速い。回した時の音も悪くない。何もかもぴったりきて気持ちいい! ちなみにネタにされがちの後方視界は思ったよりはずっとよく見える。ドアミラーがかなり小さい方が気になるかも。
試乗はあっという間に終わってちょっと放心状態。ここまで試乗でビックリしたクルマは久々だ。この感動、どこかで覚えてると思ったら思ったらGDBインプに初めて乗った時である。あの時も動力性能以前に「クルマはがっちり作るとこうなる」と知って感動したのであった。
それにしても鮮烈な体験だった、本当にショック。ビートの後継車のつもりで行ったら違ったというのは、例えるならスニーカーを買いに行ったらガチのランニングシューズを薦められたけど、試しに履いてみたらその高性能っぷりにスニーカーとの差に愕然とした。という感じ。でも普通の人はスニーカーでいいよな。
ただラゲッジスペースは本当に皆無だ。ちゃんとしたモニタはあるけどスマホの専用アプリと連動させないとナビにもならない。とにかく走り以外の機能がごっそり抜け落ちている。あそこまで「運転すること」以外に割り切ったクルマを出したのが凄い、割り切り方と言ったらアルファC4とかストラトスとかそんなレベルじゃないのかアレは(汗)
あの走りを知ってしまえば価格もむしろ安いと言い切れるけど、絶対的には高価だから正直売れるのかどうかが不安になるくらいで、 いや「軽のスポーツカー!」とかで買う人も居るんだろうけど、正直ここまで気合の入ったスポーツカーってちょっと思い浮かばない。フォロワーさんの言葉を借りると「小さな戦闘機」である、本当にそう思う。
結局「軽枠で作ってみたから面白いものが出来た」ということではビートもS660も同じ気はする。そいやビートはシティコミューターとも呼ばれてたよね、S660はSシリーズを軽枠で真面目に作った奴。だから「ビート」じゃなくて「S」ナンバーが付いたのだ。そこを納得するもんである。ホンダえらい!