アフタヌーンで短期連載していた異色の「ピンボールラブコメ」こと「FLIP-FLAP」が待望のコミックス化、という事でさっそく購入。当然連載前に掲載された読み切り版も収録ですよー。カバーがメタル調でいいなぁ。
FLIP-FLAP (アフタヌーンKC) | |
とよ田 みのる
講談社 2008-06-23 |
さてピンボールとは「金属のボールをフリッパーで出来るだけ長時間落とさないだけのゲーム」では決して無い。この辺りは読み切り版に説明が詳しいのだが、スコアルールを覚えて各種フューチャーを狙い始めると途端に化ける。それは遙かに高度で戦略性の高いゲーム。常にハイリスクハイリターン。アメリカンらしく大味に見えるが実は繊細で、ツボにハマれば本当に「桁違い」のスコアが叩き出せる、それがピンボールである。
このコミックはそんなピンボールに対する愛が溢れてる作品である、愛情だだ漏れと言っていい。一応「男女のラブコメ」という体裁は取ってるが、その実コレは「人間とピンボールマシンのラブコメ」だ、本当にピンボールが好きなら笑って泣ける。ピンボールでハイになった事のある奴らには無条件でお奨めしとく。
それにしてもゲームというのは「娯楽」ではあるが決して「暇つぶし」では無い筈だ。ムービーを垂れ流して思想を語るのが悪いとは言わん、けれども、ひたすら反復作業を繰り返して自分が少しづつ上達していく事に喜びと手応えを感じるのが本来の「ゲーム」だとも思う。そういったゲームに出会うと確実に自分の中で何かが変わる。そんな作品が今の日本にどれだけあるのかね。