[書籍]電波男(本田 透)

昔から注目していた色んな意味で熱いWebサイト「しろはた」の主宰が放つ渾身の一作、悩んでたけどその辺で見かけない(電車男は余ってるのにな…)ので勢い余ってamazonで買ってしまいましたよ。届いてから分厚さと字の細かさに驚いたが。

電波男
電波男

posted with amazlet at 05.03.24
本田 透
三才ブックス (2005/03/12)
売り上げランキング: 17
通常3日間以内に発送
おすすめ度の平均: 4.78

5 多くの人に読んで欲しい本
4 「愛」に満ちた恋愛は、脳内に存在する。
5 オタクは負け組じゃない

…予告があまりにアレだったのでちょっと不安だったのだが、予想に反して凄い面白かったり、レビューに困る位に。

知らない人にはタイトルとカバーデザインで「電車男」の二番煎じみたいな印象も受けるだろうが(この辺りは賛否両論あると思う)、これはオタクとして極めて漢らしいカミングアウトをした作者が「恋愛資本主義至上の世の中」に放つ強烈なカウンターパンチである。あまりに変化球過ぎてかすらない人も多そうだが(汗)

キモメンであるが故に全てを否定される。

オタクであるが故に全てを否定される。

そんな事が「常識」となってしまっている「恋愛資本主義」にしがみついてる負け犬女へのカウンターであり、かつ経済論や哲学論、宮沢賢治やベートーベン(共に一流の芸術家にして童貞)までも引き出して純愛を貫こうとする男の叫びである。そうなると実はもう二次元しかないと、だったら二次元での純愛を貫いた方が勝ちかと。

…いや、別に「二次元至上主義」になる必要はないと思うのだけれどもね。ただ後書きまで読めば判る通り、著者にはこれしか無かったのだ。著者だけでなくて同じような思いをしている奴も多いだろう。少なくとも「オタク度と性犯罪率は実は反比例する」というサンプルとしては実は最適じゃないかな、とも思う。

本当はオタクに関係ない人、偏見を持つ人に読んで感想を聞きたい所なんだが、文章がまんまオタク丸出しなので難しいか、「電車男」があれだけ読まれるんだから無理でもないか?

「電車男」についても否定論があって、これについてはまんま自分の思ってた事がビシバシ書かれていたので非常にスッキリした。少なくともオタクによる、かつ理論的な「電車男」否定論がきちんと世の中に出たという点では非常に高く評価したい。「電車男」についてはあのようなスレが毒男板でリアルタイムで進行し結果を出した、という点だけは評価してるんだけどね。後のメディア展開とかがもう…。

ただオタク論著にありがちな「オタク至上主義」みたいな部分がある所はちょっと気になった、まぁそこまでして自分を盛り上げないと書けないのだろうなぁこういうのは。ダメな部分も作者本人は判ってるかと思う。それを書かないのはある意味残酷とも思えるのだが、判る人には判るんだろう、判らない奴は淘汰されていくだけだから。

何にしろ、自分を救ってくれる物を身近に持っている人が本当に幸せなんだと思う。オレは両手に持っていたつもりだったけど、片手に魂を吸い寄せられた挙句に落とされて奈落の底に一度落ちた。まだ深い場所にいるけど、最近登っていけそうな気はしてきたんだ。あなたはどうですか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です