またCX-60の試乗であります、ただし今回は「CX-60 XD-HYBRID Exclusive Sport」の2023年型、つまり先日入った大型改良前のモデル。
CX-60は先日の大型改良で「乗り心地を改良しました」というメーカー発表がされていて、それは実際に改良型を試乗して強く感じた。その一方で「ハンドルが軽くなって、ダイレクト感が希薄になってスポーツカー的な手ごたえが失われた」という意見も見られる。改良型でハンドルが軽くなったのにはすぐ気づいたけど、道路も混んでたので味わい的な変化まではあまり気づいてなかった。最初期型に試乗した記憶を思い返してみると確かに、という感じ。
CX-60からCX-80に乗り換えたフォロワーさんも「改良して失われたものもある」と強く指摘、じゃあ中古での購入も検討しよう、だってCX-60は(色々とあって)中古が安いしな。先日中古車屋に見に行ったけど試乗が出来なかったって言ってたのもコレ、でも今日は馴染みのディーラーに在庫があって聞いたらちゃんと試乗が出来ますという事で来た。メーカー認定中古車の方が高いけどその分信頼は出来る、どこぞのYouTuberの影響を受けて変な改造をされているゴミ中古車とか絶対に買いたくない。
試乗車のCX-60は山ほど実施されたリコール・サービスキャンペーンの改良を全部やっていて走行距離は15,000kmほど、つまりは完全に慣らしが終わってる状態。やっぱりソウルレッドにスポーツ系の黒外装の組合せが一番恰好良い。「Exclusive Sport」だと内装は黒一色でちょっと暗いけど質感は文句なし。
サンルーフはなし、その代わりにルーフに純正DOPのCD/DVDプレイヤー兼リアモニタが付いててビックリする。今はもう注文出来ないし、注文した人も滅多にいないので相当なレア装備らしい。ポジションを合わせて出発、やっぱりハンドルがちょっと重い。
乗り心地は全然問題ない、改良型に比べたらリアはカタコト煩いのだが不快ってほどではない。穴ぼこだらけの荒れた路面ではリアから「ドガシャ!」とか聞こえてくるけどCX-5でも似たようなもんだしなあ。でもCX-60の価格帯から期待されるものからは剥離してるのは良く分かる。その辺は最初期型を試乗した時にも自分で書いてた。
記憶にある初期型より乗り心地が全然良いのは距離を走って馴染んできたのか、サービスキャンペーンで改良されたのか。同様にトルコンレス8ATなミッションも全然問題なし、不快な異音も振動もなし。アイドリングストップへの移行・復帰も問題無しだけどコレは改良型のがちょっと滑らかかも? 全然違うとまでは言わない。
ハンドルだけが確実に違う、改良前は「常温に戻したバターにナイフを入れる」みたいなねっとりとした感じでとてもいい。でも記憶にある最初期型よりは軽いし味も希薄なような気がする。改良後はXD-HYBRIDだけがちょっと軽くなったけどそういう味付けが残っていて、XDだとさらに軽くなっていて味付けもほとんど無くなってるみたいな感じ。何故か踏んだ時のパワーの出方もちょっと物足りない感じがするけど、多分気のせい。
担当セールスの計らいで試乗コースが超ロングコースになった、15㎞くらいを一時間以上かけて回る。30分もすると緊張も完全にほぐれて全く気負わずに運転出来てしまう。それにしても全然疲れないのが凄い。軽くハンドルに手を添えるだけでまっすぐ走っていく。ちゃんとまっすぐ走らないクルマは無意識下で細かく修正舵を入れるから疲れるんだろう。
ディーラーに戻って商談。あの値段ならいいな、せっかくだからタン内装の「Premium Sport」グレードを狙うかと思って探してもらったらソウルレッドの極上車が一台ありました、って見積もりをよく見たら「Pr-M」の文字が、これ白内装の「Premium Modern」じゃね? と思って再度調べてもらったら手違いで「Premium Modern」だった、「Premium Sport」は北海道には白外装しかないと。「Premium Modern」の白内装もとてもいいんだけど外装が好みじゃないし、何より白革シートはデニムがすぐ色移りしちゃうので座れないのがちょっと。
その代わり改良前モデルの新車在庫が一台あります、実はここにある展示車がそうですと言われてビックリする。つい最近展示が始まってたはずだけど改良前モデルだったんか。中古在庫を間違ったお詫びも兼ねて大幅値引きが入ってこうなりますという見積もりを見せられる、いやいや中古車前提の予算しかねえですよ?
もうちょっと言うと「改良前で良い」ってのは「今の中古の値段なら」という条件も入る。新車で買うなら色々と考えて改良後にした方がリセールは確実に良いだろうし、XD-HYBRIDなら味も完全になくなってるわけでもないし、何よりトラブルが少なさそうだし。そして改良後の新車の見積もりも改良前ほどではないけどかなりいい条件が出てきた、マジか。
正直言って出せない値段ではない。もう頭が煮えそうなので一日考えさせてくださいと言うことで持ち帰り。帰りに乗った自分のCX-5は妙に軽快でエンジンも絶好調で良かった。相変わらず頭は揺さぶられるけども。
夜にふと思い出して池田直渡氏がCX-60デビュー直後に日経ビジネスで書いたインタビューを読み返す。「あの動きはそういうことだったのか!」と今更気づくことが多くてビックリした。一時間以上かけてリラックスした状態で運転してようやく理解した。
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これを読む限りではよく言われてる「CX-60はスポーツSUVとしてあの乗り味になった」とか「XD-HYBRIDの足は未完成でXDで完成された」とか、全部嘘だってのは良く分かる。それはそれとしてメーカーの主張に対して「そうなってないやろがい!」って言われたら「せやね」って言わざるを得ないけども。