ちょっと前に出た奴、評判が良いので買ってみた。「F1倶楽部」「AUTO SPORT」に連載された奴をまとめた奴である。
双葉社 (2006/04)
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読み終えたとき、亡くなられた人に黙祷を捧げたい
読み応えあり→福沢・鈴木誠一・風戸。
Ayrton Forever…
テスト・レース中に亡くなったレーサー達について、それまでの生い立ちと事故に至る経緯を詳しく追ったお話。
いくつか技術的に疑問のある記述があったり、昔の事情を知る人にとっては結構強引な解釈らしい部分があるらしいが、初見の話が多かったので個人的にはかなり読み応えがあった。とりあえず亡くなられた方にはご冥福をお祈りしたい。
あらゆる事故は常に要因があるものだが、この書籍で取り上げられた物は全て「曰く付き」である事が興味深い。セナのステアリングコラムシャフトの加工、あり得ない福沢幸雄のクラッシュ位置、またあり得ない川合稔のコースアウト直前タイヤ跡、スポーツ精神とはほど遠い政治と利益関係だけで設計・設立された旧富士スピードウェイ、そこで起きた30度バンクの悲劇、高橋徹の速すぎた死、小河等の不可解な運転による死…。
どこまで「真実」かは判らないが、とりあえず読んだらトヨタが確実に嫌いになれる本だなー(汗) 富士30度バンクの話で「誰もが真実を語っている」というのはある意味深い(エリア51の宇宙人墜落疑惑事件でも、現実には単なる実験用ダミー人形だったんだが、宇宙人と主調していた人間は「誰も嘘はついていない」という報告書が出てたりする、人間誰しも見えてしまった物が真実とは限らない)。こういうのに興味があるなら読んでおいて損は無いと思う。問題がある部分や不足している分はネットで補えばいいし。
とりあえず書籍中で気になった事を色々と
– セナの事故はSCラン解除直後でタイヤ内圧がかなり落ちてた事も重要な要因の一つとされてるが全く記載されていない
– ラッツエンバーガーの事故について記載少なすぎ、現在はハブがワイヤーでモノコックと繋がってるので、現在なら死には至らなかったのかも…。
– 福沢の事故で「スピードメーターが無いから速度は判らない」は技術的にバカ過ぎ。そもそも細谷が「265kmくらい出してた」と証言してるのと矛盾してる。
– 福沢の事故で野次馬があんだけ居たのに、テスト車の写真が一切残ってないのはなんでだ? 実はこれが一番の謎かも。
– 福沢の事故車は「トヨタ7のクローズドボディ版(これは確かに実在する)」という事になってるが、実際には全く違うクルマのトヨタJP6という説も近年有力になってる。この辺りはそのうちまとめて書きたい。
– トヨタ2000GTがまんま日産のA550Xの丸パクリみたいに書いてあるが、これについても疑問がいくつか。JP6とまとめて書きますかね。
– 川合の事故に対して、台風通過直後であるためランオフエリアがばかでかい堀になってた事が記載されてない。キルスイッチで止めても無駄だったような気すらする。
– 小河の事故は、どう考えても小河の取ったコーナーアプローチが謎(追突した前走車は全くラインを変えていない)。レース規定云々の問題じゃないと思う。
ちなみに版権が降りなかったのか色々あるのか写真がほとんど無いのだが、下記サイトの「アクシデント」というコーナーに色々載ってるので参照。特にある意味「トヨタに殺された」と言っても過言では無い(トヨタ7のテスト中の事故は色々知ってたが、ここまで凄惨とは知らなかった)福沢幸雄と川合稔の写真は背筋が寒くなる。
あと動画ではセナ、ラッツエンバーガー、高橋徹、小河等までは確認、探せばまだあるかも。富士GCの動画は未見だが30度バンクの実走動画(カラー)はあって、そりゃ死ぬわと。個人的には小河等の事故は何故か北海道でもTVで生中継してて家族で見てたので、当時はかなりショックだったな…。