チマチマと読み進んでようやっと読了。ハードカバーでおよそ540Pの大作、一冊の本読むのにこんなに時間かけたの久しぶりかも。
で、詳しい書評はオレが書くよりHally氏が自サイト「Classic 8-bit/16-bit Topics」にて書いてますのでそちらを参照した方がずっと参考になるかと。
…それじゃああんまりなので「ユーザーとしてゲームに関わった長年の歴史はあるけど付き合いが適度にヌルい」オレ個人の書評。正直とても良い本でした、Hally氏も書いてますがあの混沌とした(おそらく全てを把握するのは不可能である)70年代後半~80年代にかけての各ゲームメーカーの成り立ちとその発展がきちんと記述された事の意義は大きいと思います。
例として個人的には「『海底宝探し』って本当にナムコ製なのか?」とか「『Mrs.パックマン』ってどういう経緯でどこで製作されたんだ?」とか「どうして『ギャラクシアン』以降、ほぼ互換ハードのゲームが各社から発売されたのか?」という長年の疑問があった訳ですが、これらがスッキリ解決出来て感無量です。あと某社と地域暴力団との関わりとかね。
後半はゲームに対する訴訟・裁判関係に大きくページを割いており、この辺りは賛否両論あるかと思いますが個人的には非常に興味深く、また意義のある内容かと思います。昔のゲーセンって今の人には信じられない位コピー基板って当たり前でしたからねー。それこそ「コピー基板」ネタで一冊書けるんじゃないかと思うくらいだし、微妙にアレンジが加えられたのもあってそれはそれで当のメーカーには大問題だったんでしょうがユーザーからしてみればちょっと興味深い世界ではあります。
個人的には恥ずかしながら「ドンキーコング事件」は知ってても「ドンキーコングJr.」事件までは知らなかったし、またセガユーザーには因縁深い「テトリス事件」の全貌がようやく理解できて(ものすげぇややこしい内容だったんだな…)こちらもスッキリ感が。それにつけても海外だとまだ論理的に納得行く展開なのに、日本の司法だと無茶苦茶な理論展開がなされてる事が多い事にはやっぱりorzだ、それにしても任天堂って昔っから老獪だったんだなー、あんな所がエミュ特許取るのってやっぱりヤバいよ。
逆にそういう事に一切興味が持てない人には、読んでもあんまし面白くないかも知れないという危機感はある、amazonとかで売ってないし、値段も高いから気軽に買えないし。実際現状ではこの手のレトロゲーに興味がある人しか話題になってないし、もう少し一般向けに振った方が商業的には良かったのかも知れない。この本自体の歴史的史料価値はとても高いですけど、とかく出回らないことには…。
「年表の類が欲しいな」と読んでて思いましたが、後書きを読む限りでは「膨大すぎて本著に収めるのは無理」という事で作る意思はあるのでしょうか。もしそっちでもう一冊出すとしたら、もう少し一般向けになると思われるのでちょっと期待。Hally氏が書いているという話の書籍(こっちは家庭用メインでしょうか)も期待しております。