イースト・プレス (2005/03)
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リアルだけど笑えるギャグノンフィクション1?
天才の帰還
実話というのがすごい
この手の奴が好きなんで買ってみた。吾妻ひでお作品は正直リアルタイム世代ではないのだが、うちの兄貴が好きで「メチル・メタフィジーク」なんて本棚に並んでてね…当時小学生だったんで「見るのはまだ早い」とか言われてたんだが、こっそり覗き見したら色んな意味で衝撃を受けた。
そんな訳で読んだ作品は少ないんだが、吾妻ひでお氏は「エロとSFの巨匠」という意味でオレの中で巨大な存在である。ある意味アレを読まなければ…という気もしないではないが多分運命なんだろう、そういう事にしておく。
さて、そんな吾妻氏が一時期失踪してホームレスと化していた、なんて話は大分前に「マンガ家のひみつ(とり・みき著)」で知っては居たのだが(絶版みたいね、どこかから再販しないかなコレ)
徳間書店 (1997/06)
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在庫切れ
改めて吾妻氏自らコミカライズされた作品は…これが無茶苦茶面白いんだよな。本人曰く「本当に辛い部分は省略」ってあるから実際にはもっと凄惨であったんだろうけど、その日々は氏の不条理SF並に波乱に満ちてて、「事実は小説より奇なり」とはよく言ったもんだと。
後半のアル中日記となるとこれがさらに進化して、本当に不条理SFの世界に巻き込まれる事に。あくまでライトタッチで描かれるからスイスイ読めてしまうのだが、実話と考えるとこれほど恐ろしい事もないだろう。つーかアル中って本当に怖いんですね…。まだタバコの方がマシだ。
しかしこんな体験をして(かつネタにして)なおマンガ家として復活した吾妻氏と、それを陰で支えた(本当に心労耐えないと思う)家族の方々には心底脱帽するしかない。
…考えてみりゃ酒もタバコもやらず[^1]博打も打たず女も買わず、愛する女房と子供も居らず、趣味も広いけど浅い部分で終わらせてしまって(結構飽きっぽい)、仕事に本当に死ぬ直前まで打ち込まされて(打ち込んで、とは微妙に違う)、その結果会社に使い捨てられかけたオレがこうして自宅療養中ってのは別に普通というかまだ正気を保ってる証拠なのでは? とか思ったりもする。
…正当化するなって? そうかも知れんけどね、みんなはこの狂気の中でどうやって正気を保ってるんだい? なんて聞いてみたいんだ、オレは。吾妻氏から見たこの世は狂気に満ちていて極めてリアルだ。そこに再び飛び込むにはそれなりの覚悟が居る、ってのは実感してたけど、正直怖気ついてる自分も居る訳で…、逃げ道は予めどこかに用意すべきなんだろうなぁ。
[^1]: 酒はうまく酔っ払えない、タバコは一回吸って「これは麻薬だ!」と確信して自ら絶ってる